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らすじ 「就職ダメなら会社作ればいいじゃん!」 そんな軽い気持ちで作った会社なのにトントン拍子に軌道に乗って、アケミとチエコは瞬く間に会社経営者に。二人の会社は頼りにはならないが唯一の男手であ る『変人ニシキド』をサポートに、順風満帆のスタートを切るが、世の中そんなに甘くない。けど意外とチャンスはやってくる。割にはチャンスはうまく生かせ ないもの。そんな物語。 なんと今回はシアホリ初の共同執筆により戯曲を書いております! ウミガメの産卵にも似たその苦心する様をお届けする ツミツクリなブログがこちら。 『lost friends 脚本制作日記』 日時 2月17日(金)OPEN 18:30 START 19:00 18日(土)OPEN 18:30 START 19:00 19日(日)OPEN 13:30 START 14:00 OPEN 18:30 START 19:00(全4回公演) 恒例となりましたペアチケットを今回もご 用意。 一人で2回見るもよし。 お友達と連れだって見るもよし。 使い方はあなたの自由です。 料金 前売りペアチケット 1500円 場所 大橋通り西 メフィストフェレス3階 cast
チエコ 松岡美幸 アケミ 深見七菜子 staff
脚本 松島寛和 松岡美幸 深見七菜子(共同執筆) 演出 松島寛和 美術 牧場ポニー 音響 池田かおり 制作 theater holic 上
演にあたって
ぼくは自他ともに認めるアップル信奉者です。 アップルとはあのMacintoshやiPodなどを世に送り出したパソコンメーカーで、当然ぼくはMacユーザーです。 なぜアップル信奉者かというと、その理由はうまく言えませんが、なんとか言葉にするとしたら「なんか応援しちゃうから」と、こんなあいまいな表現にでもな るでしょうか。この会社は決して信奉者たちの予想通りには動かない。時には裏切ったりもする。でもその裏切り方や次の戦略にぼくたちはつい感心してしまい ます。iPodを売り出したとき、そしてそれが音楽業界に大きな旋風を巻き起こす結果を生んだとき、本当に「すげえなこの会社は」と思ってしまいました。 アップルは、たまにはファンにとってイヤなこともするが、それでもついつい応援しちゃう。ぼくはそんな会社だと感じています。 でも、これって大事なポイントだと思うんです。 ついつい応援しちゃうというのは、会社を評価する上での大事な要素だと思うんですよ。 人それぞれ、各々の価値観で「つい応援しちゃう会社」も違うでしょう。ぼくなんか、例えば任天堂なんかそうだな。任天堂には子ども時代に随分お世話になった(もちろん今も)。 我らが土佐が生んだあの坂本龍馬もつい応援したくなる人と言っていいと思いますが、その龍馬は日本で始めて会社というものを作った人らしいじゃないですか。 これもまた何か、会社と、応援しちゃうという感覚との共通点にも感じられますが、どうですか。ちょっと苦しいかな。 ま、何にせよ、会社だけでなく、つい応援しちゃうという評価の仕方は一つの基準を作ってくれます。それは確かだと思うのです。 前置きが長くなりました。 昨今の起業ブームというヤツ。 ありゃあ、なんですか。 ぼくはちょっとついていけないでおります。 そんな起業起業トカ言って、それってホントに楽しいのかね、なーんてうんざりしちゃいます。 早い話、応援したいという気分にはならんです。ぼくは。 そして手っ取り早い応援としてぼくたちに用意された「株」というやつ。 これも、目的を見失っとるじゃないか。 世の中マネーゲームですか、右も左も。 そして「株で一儲け」と聞いたときの、あの負けたような気分もなんですか。 こっちゃ真面目に日々を暮らしているのに、「株で」「儲かってさ」なんて、やる気無くしちゃうじゃないか全くよぉ。 なんなんだか、いったいこったい。もう。 なんてぼくが憤ったところでいたしかたなく、この起業ブームというやつにはますます拍車がかかる一方なのでありました。 それはそれでいいでしょう。 そして、ぼくは別にホリエモンやらミキタニさんやらに文句をいいたいわけでもない。 ぼくはただ、安易に学生を煽って起業起業と言っている昨今の風潮についていけないんだと、そういうことを言っているだけなんです。 あらすじの一行目に記した「就職ダメなら会社作ればいいじゃん!」そんなノリにも見えてきて、そしてもしぼくの見立てが正しくて実際にそのノリでやってるのだとしたら、ぼくにはとことん理解できない。 起業!と煽る側も無責任で不用意に煽りすぎだし、煽られる側もよくわからないで雰囲気に乗りすぎだと思う。 「社長!」と呼ばれて気分がいいのと、実際に社長業をやるのとは根本的に違う。 社長業は誰にでも出来るわけではありません。起業は、勧めるべき相手とその人がやるべき仕事がきっちりと合致した場合に限って勧めることが出来る、とても慎重な事だと思うのです。 だいたい、それほど大勢の人が社長になりたいわけないだろ。 責任なんて取りたくないだろ。 そこそこお金があって、おいしいもの食べれて、女の子にもてて、そして家族が幸せならそれでいいんだ。大体の人は。 子どもの頃に「夢は総理大臣」とか言ってても、それは「なんか偉そうだから」とかその程度の理由で あって、漠然と社長になりたいというのもその延長線上に過ぎんとぼくには思える。 そしてその延長線上へポーンと突き抜けた先、どこか遠くまで行っちゃった状態、まぁつまりおとなになっても「社長になりたい!」と同じ夢がぬぐいきれないのであれば、それはそれ自体すごいことなので、正直に真剣に社長なり総理大臣なり目指せばいいと思う。 でも、も一度書くけど、みんなが社長になりたいわけじゃないんだ。 夢だって簡単に描けるもんじゃないんだ。 自分がやりたいことなんてそんな簡単にわかるわけないじゃないか。 なぜおとなは軽々しく若者に夢を描かせようとするのか。 それは本当に若者たちの行く末を考えてのことなのか。 おいおとなたち! おまえらホントに若いときにやりたいことなんて明確にあったのか!? そこらへんのぼくのモヤモヤを昨今の風潮に照らし合わせて舞台にしてみようというのが、今回の発端でありました。 そういうわけで今を生きる若者代表として、我らが二人のシアホリーズを脚本チームに迎えました。彼女たちはそのまま俳優も兼ねています。二人が脚本に実際 に関わることで、今を生きる若者たちの生の声が作品に込められ、また脚本に対する考え方もいつもとは違う視点で構築することができるわけです。ですので 「会社つくったけど若かったからうまくいかなくってポシャって終わり」みたいな安易なストーリーには絶対なりません。つうか、そんなになるようなプラン だったら、ぼく自身つまんないから上演には踏み切らないけど。 いい会社っていうのは、つい応援したくなる会社です。ぼくにとっては。 だから、せっかく起業するんならそういう意味で株を買ってもらえるような会社にしていただきたいし、ぼくもそういうつもりで若い会社を見ていきたい。 人の生き様も同じです。つい応援したくなっちゃうような人生をぼくも送っていきたいし、そういう人とたくさん出会いたい。 そして、起業なんかしなくったって偉い人はたくさんいる。 その人が持っている価値と、権威やら身分やら立場やら肩書きやらそういうものは、なんの関係もない。 そんな気持ちで今回のお芝居を作っております。 それでは劇場でお待ちしております。 2月の半ばにメフィストフェレスでお会いしましょう。 文責 松島寛和
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