シアターホリック  VOL.5



オレアナ
OLEANNA

最新作「オレアナ」の稽古場速報が新設!
制作担当のあごうまいこがレポートします。


大学教授と女子大生。分かり合えない二人の行く果ては
 …… あらすじ
ジョンは大学で教育学を教える大学教授。彼は終身在職の資格をもうじき与えられる予定で、新居も購入予定のいわば順風満帆な暮らしをしている。そんなある日、彼の元を女子大生のキャロルが訪れる。彼女は授業が全く理解できないとジョンに相談しに来たのだ。
必死に授業の中身を説明するジョン。キャロルは聞いても「わからない」まま。説明すればするだけ二人の溝は深まっていく。
お互いが理解し合えないまま過ぎた数日後、キャロルはジョンにセクハラを受けたと大学に訴え出てしまう。身に覚えのないジョンはキャロルに詰め寄る。キャロルは何故自分が訴え出たのかを説明するが、説明されてもジョンには全然「わからない」まま。

何故キャロルはジョンを訴えたのか。
何故ジョンとキャロルは分かり合えないのか。
物語は数々の疑問をはらみながら転がり続ける。
あなたはもう、衝撃のラストシーンまで目が離せない。


理解し合えない人ときちんと話をする自信がありますか?
 …… 見どころ
この頃は深刻な話題が多くて参ってしまいますね。中国のデモもそうだし、北朝鮮の問題やら尼崎の脱線事故やらなにやら。とてもじゃないが軽く扱えない事件が多発して、こっちもどう受け取っていいものやら、本当に参ってしまう。
こんな事件が起きないためには云々ということは、ぼくにはよくわからないし、ぼくがここで論じることもないと思うのですが、ふとぼくは思うのです。
中国でデモをやっているけど、ぼくは、そのデモおかしいぞ、と思うわけ。でも、たとえばぼくがその現場に行って、デモをやっている彼らに「そのデモおかしいぞ」というぼくの気持ちを伝えられる自信はないぞ。そんなことを思うのです。
北朝鮮で持論を展開し論破する自信もありません。尼崎の被害者の皆さんへ、ぼくなりに感情があるのですが、それをうまく伝えられる自信はない。
結局ぼくは自分のことを伝えられないんだなぁと思ってしまうのです。
もっと身近な事で言えば、ぼくは芝居がとてもおもしろいと思っているんだけど、それすらも伝えられる自信がないときがある。たとえば女子高生を相手にして。たとえば道行くおばちゃんを相手にして。たとえばまったく人の話を聞かず自分の話ばかりをする人に対して。たとえば、たとえば、たとえば。
冷静に考えてみると、ぼくたちには自信を持って相手に伝えられる事が少ないことに気づきます。単純なことは伝えられても、ちょっと複雑になると「えー? そんなのわかんなーい」とか言われちゃいます。そして同じように相手を理解してやれないことも多いのです。自分だってちょっと複雑になると「そんなの全然わかんねえ」になっちゃうのです。
さてさて。今回のお話は理解し合えない二人が、研究室という密室にこもり、必死に会話を続けるという内容です。二人の会話は平行線をたどり、決して交わることはありません。だけどとってもスリリング。何故かと言えば、普段なら絶対に会うこともなかった二人、生き様も考え方も背景もなにもかもが違う二人が、たまたま出会って、理解し合おうとするわけですから。とにかく二人とも必死なんです。全身全霊なんです。それでも交わらないんです。絶対に分かり合えないんです。だからそこの部分が見どころなんです。おもしろいんです。
全く理解し合えない相手ときちんと話をする自信は、ぼくにはありません。でもやらなきゃいけないときは一生懸命自分を伝えようと思います。たとえどんな結末になろうとね。

文責 まつしまひろかづ。



 


この公演は大好評の内に終演しました。
たくさんのご来場ありがとうございました。


日時 6月17日(金)OPEN 18:30     START 19:00
     18日(土)OPEN 18:30     START 19:00
     19日(日)OPEN 13:30     START 14:00
          OPEN 18:30     START 19:00(全4回公演)  

今回の作品は2回見るとより作品が「わかる」仕組みになっています。
オレアナを最後まで見届けてやりたい! と思ってくれたあなたのために
今回はペアチケットをご用意しました。
一人で2回見るもよし。
お友達と連れだって見るもよし。
使い方はあなたの自由。
ですが。シアホリとしては2回ご覧になるのをおすすめします。

  料金
前売りペアチケット 1500円
     前売り券 800円
      当日券 1000円


場所 大橋通り西 メフィストフェレス3階

お問い合わせ シアターホリック


CAST
女子大生キャロル
  深見七菜子

大学教授ジョン
  松島寛和


STAFF
 デヴィッド・マメット

演出 まつしまひろかづ。
宣伝美術・舞台美術 牧場ポニー
音響操作 池田かおり

制作 あごうまいこ
   シアターホリック




表紙へ戻る