松島寛和の活動についてご報告です。

おはようございますこんにちは。
シアターホリックの松島です。

わたくし松島寛和は、
シアターホリックでの演劇作品上演を
今回のvol.28「どこまで行っても死にたくない」で一区切りとし、
創作活動をしばらくお休みさせていただくこととしました。

シアホリを応援してくださっている皆様へ活動休止をお伝えしたく
こうしてキーボードに向かっております。

とはいえ、演劇活動の全てをやめるわけではありません。
「蛸蔵演劇道場」は演劇祭終了後に第3期を開講します。
道場ではぼくも引き続き講師をやらせていただきます。
松山の劇団UNIT OUTの新作「たぶん、高慢と偏見」には俳優として出演します。
また、7月には越知町で、牧野富太郎を取り上げた短編演劇を上演予定です。

出演や、作品制作で、誘ってもらえればやります。
新作を書くこともあるかもしれません。
なにも演劇から完全に離れたい、と思っているわけではありません。

一旦休止とするのは、
松島がゼロから企画して上演する、シアホリの本公演です。
それは1年になるのか、5年になるのか、
はたまた、松島が作演出する作品はシアホリでは二度と上演されないのか……。
将来のことはわかんないですが
しばらくは松島発案で演劇作品を制作することはないぞ、ということです。

理由はいくつかあります。
一つはシンプルに、疲れちゃった
体力が衰えて続けられなくなった、ということ。

もう一つに、キャンプしたり旅に出かけたり、いろいろ遊びを覚えちゃいましたので
自分のために時間を使いたくなった、ということもあるかもしれません。

そしてそして。趣味として純粋に演劇と向かい合いたいと思ったのかもしれない。

これまでは自分を創作者だと思っていました。
だから、何を見ても、自分の作品に活かせないかと必死になっていた。
読みたい本よりも、読まなければならない本が目の前にあった。
映画を見ても、舞台を見ても、
見ているその瞬間は作品に没頭しても
帰り道には自分の作品にどうやってフィードバックするか、
そういうことばっかりを考えていた。
なーんか、そういうことから解放されたいなあと思ったのかもしれません。

ぼくは高知に移住してきてシアホリを旗揚げして
いつしか、高知の演劇文化を発展させたいと
本気で考えるようになりました。

それは、別に大袈裟なことではなくて
自分の劇団を発展させたいというのが根底にあってのことです。

自分の劇団が発展するためには、その地元の演劇文化が豊潤にならなければいけない。
だから高知の演劇文化を発展させるのだ。
そういう理屈です。

ずいぶん頑張った。
頑張ったつもりだけども。
なんとういうか、志半ばにて力尽きた感覚です。

いま、シアホリを見にきてくださっているお客様には
本当に演劇が好きで見にきてくださっているファンの皆様がいらっしゃいます。
初めてお目にかかる方だな、という方も少なくありません。
ほんとうに、ほんとうにありがとうございます。
皆様のおかげでシアホリを続けてこれました。

シアホリ楽しみだなあ、新作かあ、見に行こう!とご予約くださっている方
あなたが高知の文化を底支えしてくれていると言っても過言ではないですよ。
いやほんと。
それはシアホリだけじゃなくて
他の演会所属劇団のお客様も、
県立美術館ホールの映画上映会にお越しの皆様も
自主上映の映画をご覧になる皆様も
あたご劇場へ通われてる方も
そういう一人一人が、高知の文化を支えているのです。

ちょっと横道にそれてしまいました。

シアホリの裏側と言いますか、チケットの販売割合を申し上げますと、
手売りでチケットを販売する割合は少なめなんです。
そうなると、先ほど申し上げた「演劇ファン」の方々にご来場いただけなければ
興行を成立させるのが難しくなる。
「我々の知り合いではない」というお客様がいかに劇場へ来てくださるか
そこに大きな比重が乗っかっているのです。

シアホリも頑張ってきました。
頑張りましたが、正直に言って、
純粋に、作品の力だけで、蛸蔵を満杯にして札止めにするというのは
シアホリにはとても難しいことでした。

ぼくらの作品に魅力がない、と言ってしまうとそれだけですが。
でも、人口規模の問題も大きいんじゃないかと思っておりまして。
そもそもの人口が少なければ、一定の割合で演劇ファンがいたとしても
その人数には限界があります。

これからどんどんと人口は下がります。
若者の比率も下がってくる。
そこに、YouTubeやTikTokやら新しい表現の媒体が出てくる。
そんなことになったら、みんな、劇場のこと忘れちゃったりしない?
もう、演劇は史上稀に見る規模のピンチを迎えておりますよ。

俺が今20代ならなあ。
いや、せめて30代なら。
逆境こそチャンスだとか言って。
ここで頑張ったのかもしれないけど。

もうぼくも、あと何年かで50になります。
ガリガリに頑張ろうとしても、昔の勢いやスピード感ではできなくなってきた。
それで。
ちょっと身を引いて、客観的に考えてみたいと思ったわけです。

そもそも、演劇はローカルな物です。
その場に行かなければ見ることができない。

「配信があるじゃないか」
いやいや。
配信は演劇ではないですよ。
配信なんてのは、雰囲気をお裾分けしてもらうだけのものですから。
配信で見るのと、劇場で見るのは、もう全くの別物ですからね。

だから、一人でも多くの人に
実際に劇場へ足を運んで
演劇の奥深さを体験してほしい。
高知の人たちに、高知で生まれた舞台を楽しんでいただきたい。
それは高知の人々の特権です。

その街で作られ、その街で消費されるのが演劇なんです。
ぼくは高知で劇団を旗揚げし、ここで作品制作に関わった。
だから、今でも、高知の演劇文化の発展を祈っておりますし
自分にできることはやりたいと考えています。

演劇道場は続けます。
実践で身につけたこと、先輩から教わってきたことを伝えたい。
これから、逆境の中で戦っていく同志たちの力になれるよう
高知の演劇界に尽くしていければと考えています。

ほんで、そういうとこに載る肩書には「劇作家」とか「演出家」が残るんじゃないかな。

残すよね。

創作してないのに「劇作家」とか「演出家」を名乗るわけです。
ちょっと、どうかな?とも思いますけどね。
でもね、でもね。
ぼくが子どもの頃は、山本晋也も大島渚も、映画を撮っておりませんでしたが「映画監督」を名乗っておりました。
ぼくも似たような感じの立ち位置というか
まあ、だから山本晋也みたいな感じになるんだなと思ってもらえればいいです。

ほんで、大島渚は、そのあとに「御法度」という新作を撮りました。
ぼくもそのうち、「やっぱやりたい!」ってなるかもしんないんで。
おれの「御法度」を上演するかもしれないんで。
やめるやめる詐欺になったとしても、その時は優しく受け入れてあげてください。

というわけで。
シアホリ、松島のラスト(?)作品
vol.28「どこまで行っても死にたくない」
どうぞ、たくさんのご来場をお待ちしております。
ラストですよ、ラスト。
これを見逃すなんてありえないですよ!
もう、絶対に劇場に来て、ご自分の目でご覧になってください。
配信はやりませんので!

文責:松島寛和


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